日本の代表的な航空会社といえばANA(全日本空輸)とJAL(日本航空)。
どちらも世界的に高い評価を受けていますが、「安全基準」や「国際評価」に違いはあるのでしょうか?
この記事では、IATA・ICAOなどの国際基準や、海外メディアによる安全ランキングをもとに、ANAとJALの安全性を比較します。
ANAとJALの安全性が世界トップクラスと言われる理由
① IOSA(IATA運航安全監査)をクリア
ANAとJALはともに、IATA(国際航空運送協会)のIOSA認証を継続的に取得。
この監査は運航・整備・乗務員訓練など900以上の項目で構成され、 世界の航空会社上位約30%しかクリアできない厳格な基準です。
② ICAO(国際民間航空機関)の安全監督でも高スコア
ICAOのUSOAP監査(国家レベルの安全監督能力評価)では、 日本は「安全監督有効性(EI)」で平均を大きく上回るスコアを維持。
つまり、ANA・JALともに国レベルで支えられた安全文化の中で運航しています。
③ 重大事故率ゼロの記録を更新中
2000年代以降、ANA・JALともに死亡事故ゼロを継続。
定期便運航では世界最高水準の安全運航記録を持ち、AirlineRatingsの安全ランキングでは毎年上位にランクインしています。
ANAとJALの安全基準を比較
| 項目 | ANA(全日本空輸) | JAL(日本航空) |
|---|---|---|
| IOSA認証 | 継続更新(最新:2025年) | 継続更新(最新:2025年) |
| ICAO監査対象国 | 日本:EIスコア平均超(安全監督体制高評価) | |
| 機齢(平均) | 約9年(新機導入継続) | 約10年(機材更新を計画的に実施) |
| 安全管理体制(SMS) | 自社安全報告システム・データ監視を導入 | 再発防止委員会・安全統括部による監査体制 |
| 訓練体制 | 自社シミュレーター(B787/A380等)保有 | 国内外で標準化訓練を実施、訓練センターを整備 |
| 近年の国際評価 | AirlineRatings安全ランキング第8位(2025年) | 同ランキング第12位(2025年) |
※ 数値はAirlineRatingsおよび各社公開資料(2025年1月時点)に基づく。
ANAとJAL、安全への取り組みの違い
ANA:データ主導型の安全管理
ANAは「Safety Management System(SMS)」を早期導入し、運航データ・整備履歴・気象情報をAI分析してリスクを可視化。
事故予防の仕組みを組織全体で共有する体制を確立しています。
JAL:ヒューマンファクターと現場教育の強化
JALは過去の教訓をもとに「再発防止体制」を強化。
パイロット・客室乗務員・整備士が横断的に情報共有し、人的エラー防止の教育プログラムを重視しています。
海外メディア・国際機関での評価
AirlineRatings 2025
- ANA:第8位(前年10位から上昇)
- JAL:第12位(前年11位からわずかに下降)
評価項目は「事故履歴・安全監査・機齢・運航規模・財務健全性」。
どちらもフルサービス航空会社の中で高い安全評価を維持しています。
Skytrax 2025 World Airline Awards
安全性だけでなくサービス・清潔度・定時運航率などを含む総合評価でも、 ANA・JALはどちらも世界TOP10常連です。
まとめ|ANAとJALはどちらも世界有数の安全航空会社
国際基準・監査結果・事故統計のすべてにおいて、ANA・JALは世界最高水準。
細かな方針や管理手法には違いがあるものの、どちらを選んでも「安全性に関して後悔しない航空会社」です。
覚えておきたいポイント
- 両社ともIOSA認証・ICAO監査に合格し続けている
- 事故率ゼロを20年以上継続
- ANAはデータ主導、JALは教育主導で安全を強化